フットサルのポジション

フットサルは全員が常にポジションを入れ替えながら戦いますが、それぞれに役割(=ポジション)が決まっていることが一般的です。それぞれ、ゴレイロ、フィクソ(ベッキ)、アラ、ピヴォというポルトガル語のポジション名になっているため、なじみが薄い人も多いと思いますが、役割と適性について解説していきます。

ルール上で決まっているポジションはフィールドプレーヤーとゴールキーパーの区別のみです。しかし、プレイヤーのスキルやプレースタイルなどを考慮してフィールドプレーヤーをいくつかのポジションに分けて、ある程度の役割分担をしながらプレーするのが一般的です。

最も多く使われているポジションの分け方を使って説明していきます。

ゴレイロ(ゴールキーパー)

基本的にはサッカーのゴールキーパーで手が使える唯一のポジションです。

サッカーと比べてゴールが小さいこともあり、上手いゴレイロがいると失点が一気に減ります。

また、スローだけで決定的チャンスを作り出せるのも特徴で、チームが強くなるためには欠かせないポジションです。

ゴレイロの役割

一番の役割は最後の砦としてゴールを守ることです。
敵のロングスローやパスに備えて、ペナルティーエリアから出て味方の後ろのスペースを守るのもゴレイロになります。

攻撃についても、ゴールクリアランスやキャッチ後のスローで、ピヴォやアラへロングスローを投げたり、フィクソ、アラにボールをフィードする攻撃の起点としての役割もあります。

シュートを止めるのはもちろんですが、危険な状態になることを未然に防ぐことが重要です。また、神の声と呼ばれる味方の最後尾から大声で指示を出す役割も求められます。

パワープレーでは、フィールドプレーヤーと同等の動き+素早い切り替えでゴールに戻る運動量も求められます。

ゴレイロの適性

至近距離からのシュートが多いため、至近距離のシュートや混戦による接触を恐れない勇気と技術、読みの良さが必要な専門的なポジションです。

ゴレイロはフィールドプレーヤーに比べて足元の技術よりボールへの反応を求められることもあり、社会人チームではサッカー未経験者も多いです。バスケやバレー、野球、ハンドボール出身者が活躍しているのを見かけます。

とは言っても、足元の技術は必要になります。パワープレーに対応できるレベルや相手のゴレイロのポジションを見てロングシュートを狙う判断力とキック精度があるとさらに活躍の場が広がります。

フィクソ(ベッキ)

ゴレイロの前に位置する、フィクソ(別名ベッキ)は、守備と攻撃の要になるポジションです。サッカーで言えば、センターバックとボランチを合わせたようなポジションでしょうか。

パスをさばいてゲームを作っていくゲームメイクのセンスだけでなく、アラと入れ替わったり、ピヴォからのリターンパスをシュートしたりと、攻撃的な役割も担う場面もあります。

ミドルシュートやロングシュートを打つ機会が多いため、フリーの状態から強烈なシュートを枠内に打つ能力があれば怖さは倍増します。

攻撃が得意な選手が多いピヴォを相手にディフェンスを行う必要があるため、高いディフェンス力が求められます。また、数的不利の状況を守る機会が他の選手に比べても多いのも特徴です。

フィクソの役割

味方の攻守の要として、ゲームメイクを行うことが一番の仕事になります。パスを出してじっと待ち続けるのではなく、自分が動くことによってフリーになって攻撃をしたり、敵を引きつけて新しいスペースを作ることで味方の攻撃のサポートをすることで攻撃参加し、相手を崩していきます。

プレー以外でも攻守共に味方に指示を出してポジションのズレを調整したり、味方の目や頭脳としての役割を担う必要があります。

フィクソの適性

敵のプレスに耐えれるだけのフィジカルやボールポセッション能力、パスセンスは必須と言えます。また、数的不利の状況や1vs1の頻度が他のポジションより多いこともあり、ディフェンス能力も高いレベルで求められます。

また、ゲームコントロールする上での冷静さやクレバーさがあると僅差のゲーム展開では頼もしい限りでしょう。

アラ

コートの両サイドに位置するポジションです。厳密に区別する場合は、左サイドに位置するアラを左アラ、右サイドに位置するアラを右アラと呼びます。攻守共に活躍が求められる最も運動量の多いポジションです。サッカーで言えば、ミッドフィルダーとなりますが、ウィング、サイドハーフ、サイドバックを合わせたようなポジションと言う方が近い気がします。

アラの役割

アラの役割は、豊富な運動量でコート内を動き回り、守備時にはフィクソ(ベッキ)の、攻撃時にはピヴォのサポート役になることです。また、ドリブルでの突破能力や強力なシュート、1vs1の強さ等、何らかの強みがあればアラとしての特色が出てきます。

アラの適性

運動量の多さが第一に求められるポジションのため、攻守共に活躍する運動量と切り替えの早さが何より重要です。フィクソからのパスを得点に結びつけることのできるオフェンス力や他のプレイヤーのシュートにファー詰めに行くスピードと判断力があればチームとしての得点力を底上げできます。

左アラは右利き、右アラは左利きのプレイヤーであればフィクソ位置でのボールコントロールやカットインしてのシュートなどで利き足を中心に使った立ち回りがしやすくなります。

ピヴォ

フットサルで攻撃の中心になるポジションです。サッカーで言えば、センターフォワードのポジションになります。

ピヴォの役割

ピヴォの役割は得点を取ることと、得点を取るプレーのサポートをすることになります。具体的に言えば、味方からのパスを受けてシュートを打つプレー、味方からのパスを受けて味方にパスを送るプレー、ゴール前から離れることで敵のディフェンスを釣り出してスペースを作るプレーなどがあります。

ピヴォの適性

最も得点能力を求められるポジションですが、それ以上に味方からのパスを全て納めてしまうだけのボールコントロール(があると味方に思われること)が重要です。ピヴォにボールが渡れば得点に繋がるという味方の信頼、敵からすれば脅威はピヴォに対する何よりの賞賛です。

まとめ

フットサルでは、フィールドプレーヤーは流動的に入れ替わりながらプレーするため、ゴレイロ以外のポジションは明確な違いはありませんが、同じフィールドに立っている仲間と役割分担をすることで効率的にプレーすることができるようになります。

ピヴォだからオフェンスだけやる、フィクソだからディフェンスだけやるというわけではなく、攻守共に全員がポジションに合った役割を持っています。自分のプレースタイルや性格を考慮して、どういうポジションの能力を伸ばしていくか考える参考になれば嬉しいです。

ゲル・ロドリゴ(フットサル日本代表監督) (著), minaco. (イラスト)