練習時間が限られる社会人プレーヤーほど、本でインプットの密度を上げると上達が早くなります。同じ個サル1回・チーム練習1回でも、「今日はこの動きを試す」と言葉で持っていけるかどうかで、吸収量がまったく違ってきます。フットサルの戦術書やサッカーノートは、その「言葉の引き出し」を増やしてくれる道具です。
この記事では、フットサルの戦術や技術を学べる本を「レベル別」と「目的別」の2軸で整理して紹介します。あわせて、思考を整理するためのサッカーノートや、フットサルに転用できるサッカー戦術書もまとめました。サッカー未経験から社会人でフットサルを始め、個人参加レベルから都道府県リーグまで上がったさるっちょが、実際に読んで参考にしてきた本を選んでいます。
本選び、最初は「とりあえず人気のやつ」で外したことが何度かあります。レベルと目的に合った1冊を選べると、読み終わったあとの個サルで「使える」瞬間がちゃんと来ます。
フットサルの本で戦術を学ぶ意味
ボールを止める・蹴るといった技術は、最終的にはボールを蹴った時間でしか伸びません。一方で、戦術や連携プレーは「知っているかどうか」で動きの選択肢が大きく変わります。パラレラ・ジャグナウ・ピヴォ当てといった用語と動きをセットで理解しておくと、ピッチ上で味方の意図を即座に汲み取れるようになります。
Fリーグや海外リーグの試合を観るのも有効です。ただ、最初に本でパターンの引き出しを増やしておくと、映像を見るときの解像度が変わります。「いま何が起こったか」を分解して観られるようになるので、本→映像→自分の練習というサイクルで回すのがおすすめです。
レベル別 フットサル本の選び方
本選びでよくある失敗は「いきなり戦術用語が並ぶ専門書を買ってしまう」ことです。自分のレベルに合った本から入ると、続きが読みたくなります。ここではフットサル歴ごとの選び方を整理します。
初心者(フットサル歴〜1年)
まずは「止める・蹴る・運ぶ」の基本と、4ポジション(ゴレイロ・フィクソ・アラ・ピヴォ)の役割が図解で押さえられる本を選びましょう。スペイン語の戦術用語を網羅した本に最初から手を出すと、用語に圧倒されて積ん読になりがちです。図と写真が多く、DVD付き・動画付きの入門書がベストです。
中級(フットサル歴1〜3年)
パラレラ・ダイアゴナル・ピヴォ当てといった基本動作は身体で覚えてきた頃です。ここからは「なぜこの動きが有効なのか」「相手DFをどう動かしたいのか」を言語化してくれる戦術書が刺さります。個人戦術書とチーム戦術書を1冊ずつ持っておくと、個サルとチーム練習の両方で使えます。
競技志向(地域リーグ・大会上位を狙う層)
フォーメーション(3-1・4-0・1-2-1)の使い分け、セットプレー、トランジション守備など、チーム単位で約束事を共有するための本が必要になります。海外メソッドを翻訳した本や、サッカーの戦術書(ポジショナルプレー系)まで視野を広げると、引き出しが一気に増えます。
戦術理解を深めるおすすめ書籍
このセクションでは「フットサル特有の戦術用語と動きのパターンを体系的に学べる本」を紹介します。中級以上のプレーヤーにとって、長く手元に置いておく価値があります。
フットサル日本代表監督ミゲル・ロドリゴのフットサル戦術 パーフェクトバイブル
元フットサル日本代表監督ミゲル・ロドリゴ氏による戦術書です。ローテーション、パラレラ、ダイアゴナル、ピヴォ当てといった基本動作から、旋回・偽ピヴォ・サイドチェンジまで、攻撃・守備・リスタート・トレーニングを章立てで網羅しています。さるっちょが中級期に「戦術用語を1冊で押さえたい」と思って手に取った本で、いまでも読み返す機会が多い構成です。刊行から年数が経っているため、新品が品薄なときは中古での入手も視野に入れてください。
DVDでマスター! 保存版 フットサル最新プレー&戦術(北原亘)
名古屋オーシャンズなどで活躍した北原亘選手による、現役プレーヤー目線の戦術解説書です。DVDで動きを映像確認できるのが最大の強みで、文章だけでは伝わりにくい「足の置き方」「身体の向き」が一目でわかります。前線・中盤・後方のエリア別に攻撃パターンが整理されているので、ピッチ上の自分の立ち位置にひもづけて学べます。個人参加で「ピヴォ役を任されがちな人」「アラで前を向きたい人」に特におすすめです。
個人技術・基礎を磨くおすすめ書籍
戦術書を読んでも、止める・蹴るが安定しないと再現できません。ここでは個人技術と基礎を底上げしてくれる本を紹介します。サッカー未経験から始めた方、ブランクが長い方は、戦術書よりこちらから入ったほうが上達の伸びが大きくなります。
フットサルクリニック(止める・蹴るの技術書)
「止める」「蹴る」「運ぶ」というフットサルの三大基本に絞った教科書的な一冊。サッカー未経験の社会人プレーヤーが、個サルで恥ずかしくないレベルまで一気に引き上げるのにちょうどいい難易度です。さるっちょ自身、サッカー未経験で個サルに出始めた頃、この種の基本書を1冊腰を据えて読んだことで「ボールを止める位置」の意識が変わりました。ボール1個あれば1人で取り組める練習メニューが多いのも嬉しいポイントです。
チーム戦術・フォーメーションを学ぶ書籍
チームの約束事を整える、ミーティングで戦術を共有する、若手に説明する。そんな立場の方に向けた書籍です。1冊あるとチームのグループチャットで参照しやすく、共通言語が育ちます。
フットサル戦術書(3-1・4-0などフォーメーション解説)
3-1・4-0といった主要フォーメーションの中身を、各ポジションの動き方まで踏み込んで解説する戦術書を1冊持っておくと、チームで「うちはどのシステムを基準にするか」を議論するときの叩き台になります。攻撃のパターン解説が豊富な本を選ぶと、新人のアラ・ピヴォにもそのまま指示として落とし込めます。
サッカーノートで思考を整理する
本を読んだら、その内容を試合や練習で試して、自分の言葉でノートに残す。これをやるかやらないかで、半年後の上達カーブが大きく変わります。サッカーノートはサッカーだけでなくフットサルでも有効で、特に「戦術用語を覚えたのに試合中に出てこない」という社会人プレーヤーに効きます。
中村俊輔『夢をかなえるサッカーノート』
元日本代表・中村俊輔選手が中学生から書き続けてきたサッカーノートをもとにした一冊です。「何を、どう書けば自分のプレーが変わるのか」が、本人の生の言葉と実際のノート写真で残されています。フォーマットを真似するだけでも価値があり、フットサル用にアレンジして使っているプレーヤーも多いです。ノートを始めたいけれど続かない方は、まずこの本を読んでから手頃なノートを買うと続きやすくなります。
フットサル用ノートの書き方(さるっちょの実例)
さるっちょの場合、A5ノートに以下の3項目だけ書く形で続けています。
- その日の練習・試合のテーマ(例:パラレラを3回出す)
- うまくいった場面と、その時の自分の身体の向き・足の置き方
- 次回試したい動き1つ(多くても2つまで)
「3項目だけ」と決めることで、帰りの電車5分で書き終えられて続きます。書き終わったら本の該当ページに付箋を貼っておくと、復習が高速になります。
サッカー本でフットサルに転用できる本
フットサル本は数が限られるので、ある程度読み終えたらサッカーの戦術書に手を伸ばすのが効率的です。ピッチサイズが違うので動きの距離感は変わりますが、「相手DFの基準点をずらす」「数的優位を作る」といった原則はそのまま使えます。ここではフットサルで使い回せるサッカー本を紹介します。
ポジショナルプレー系のサッカー戦術書
「ライン間で受ける」「同じレーンに2人入らない」といったポジショナルプレーの原則が学べる本です。フットサルでも、エントレリネアス(ライン間)でボールを受ける動きはそのまま転用できます。ダイヤモンド型のフォーメーションを組むときの立ち位置を整理するうえでも、サッカーの原則本は役立ちます。
本を読んだあとの実践方法
戦術書を買うこと自体が目的化しやすいので、さるっちょが実際にやって効果のあった実践フローを紹介します。サッカー未経験から都道府県リーグ所属まで上がった過程で、続けてよかったと感じている習慣です。
- 1冊につき1つの動きだけ抜き出す:本を全部覚えようとしない。今週はパラレラ、来週はピヴォ当て、というように1テーマに絞る
- そのテーマを当日の個サル・練習で必ず2〜3回試す:失敗してOK。試した回数をノートに記録
- うまくいかなかった理由を本に戻って確認する:図のどこを見落としていたかを発見する
- 1〜2ヶ月続けてから次の動きに移る:週1〜2回の練習頻度だと、身体に染みこむまでに最低6〜8回はかかる
さるっちょが都道府県リーグに所属していた時期、チーム練習で「今週のテーマはパラレラからのフィニッシュ」と決めて、メンバー全員でその週は同じ動きを反復したことがありました。本に載っていた図を印刷してホワイトボードに貼り、練習後に「今日のパラレラで身体の向きはどうだったか」を5分だけ振り返る。これを4週続けたら、リーグ戦で実際に同じ形からの得点が増えました。1冊の本から取り出すテーマを絞り、チーム単位で同じテーマに揃えると、書籍の戦術は驚くほど早くピッチに乗ります。
本を10冊読むより、1冊を3回読んで実践したほうが上達します。複数の本を並行して読むのは、ある程度動きが身体に入ってからで十分です。
「積ん読」、本当にあるあるです。買って満足する前に、最初の1冊だけ決めて、それを擦り切れるまで使う方が結果的に上達が早かったです。
まとめ
フットサルの本は数が多いわけではない分、自分のレベルと目的に合った1冊を選べれば、長く活用できます。今回紹介した中から、現在地に合う本を以下の優先順位で選んでみてください。
- 初心者で何から手を付けるか迷う方:『フットサルクリニック』系の止める・蹴る基本書
- 中級で戦術用語を体系的に押さえたい方:『ミゲル・ロドリゴのフットサル戦術 パーフェクトバイブル』+『DVDでマスター! フットサル最新プレー&戦術』
- 競技志向でチームを引っ張る立場の方:フォーメーション解説のフットサル戦術書+サッカーのポジショナル本
- 上達ペースを上げたい全レベル:『夢をかなえるサッカーノート』+手頃なノート
本を読み終えたら、戦術用語のページもあわせて読んでみてください。パラレラ・ダイヤモンド型のフォーメーション・コルティーナ・フィクソなど、本の中で出てきた用語の動きを当サイト内で深掘りできます。
そして本で学んだことをピッチで試すには、自分に合ったシューズも欠かせません。シューズ選びに迷ったらフットサルシューズの選び方もあわせてご覧ください。







