この記事は、サッカー経験者で社会人フットサルを始めたばかりの人に向けて書いています。「パスをしたら抜ける」と言われるけど、抜けた後に何をしていいかわからない、という人が、コルティーナ(カーテン)の動きを理解して、明日からチームに貢献できる動きを持ち帰れるようにまとめました。
フットサルを始めて、最初に「サッカーと違うな」と感じる場面が、パスをしたあとの動き だと思います。
サッカーなら、パスを出したあとはサポートの位置に動いて、次のパスをもらえる準備をします。フットサルでも基本は同じですが、コートが狭く、4人で攻めるぶん、「自分はボールに絡まないけど、味方を必ず有利にする動き」 が非常に重要になります。
その代表格がコルティーナ(カーテン)です。私(さるっちょ)が個人参加レベルから競技志向のチームに移ったとき、一番衝撃を受けたのが「上手い人がコルティーナで作るフリーの瞬間」でした。自分は何もしていないように見えても、隣にいるだけで味方がフリーになっている。これがコルティーナの正体です。
この記事ではコルティーナの意味、動きの仕組み、いつ使うのか、サッカー経験者がよく混同する動きとの違い、練習方法までを順番に解説します。
競技に行って一番衝撃だったやつです。自分は何もしてないのに、隣にいるだけで味方がフリーになる動き。最初「これズルくない?」と本気で思いました。
コルティーナとは:定義と語源
コルティーナ(cortina)はスペイン語・ポルトガル語で 「カーテン」 を意味します。フットサルの戦術用語としては、その名のとおり「味方のディフェンダーの視界と進路にカーテンを引く」動きを指します。
もう少し噛み砕くと、
- 味方のボールホルダーをマークしているディフェンダーと、ボールホルダーの間に
- 自分が体を割り込ませて
- 一時的にディフェンスを無効化する
という動きです。
【画像マーカー1:コルティーナの基本配置(ボールホルダー・そのマーカー・カーテンを引く選手の3者の位置関係を俯瞰図で)】
ここで重要なのは、自分がボールをもらうための動きではない ということ。自分は触らない前提で、味方を有利にすることだけが目的です。
コルティーナの狙い:なぜ「カーテン」で味方がフリーになるのか
コルティーナの威力は、一瞬の 2対1 を作れることにあります。
たとえばボールホルダーAと、そのマーカーDがいて、Aの近くに味方Bがいるとします。Bが何もしなければ、AはDに正対されたままで、自由なプレーは選べません。
ここでBがAとDの間に体を入れる(カーテンを引く)と、Dは一瞬どちらにつくか迷います。
- Aを離してBを掴みに行く → Aは完全にフリー、好きなプレーができる
- Aを掴み続けてBを無視する → BがそのままAから直接ボールを受けられる
- Aもう一度マークし直しに動く → 動き直す瞬間にAは時間を得る
つまり、ディフェンスがどう動いてもオフェンスが有利になる 2択以上の選択肢 を作る動きです。
さるっちょがチームで競技志向の人たちと練習を始めた頃、ボールを触っていない時間に「Bの位置にいるだけで点が決まる」ことに衝撃を受けました。フットサルが「ボールに絡んだ人が偉い」スポーツではなく、ボールに絡まない動きでこそ差がつく スポーツだと体感したのがこの瞬間でした。
コルティーナの動きを3つに分解する
フェーズ1:マークを引き連れて中央へ動く
コルティーナはまず、自分のマーカーを連れていく ところから始まります。全力ダッシュで切り離してしまうと、ディフェンスが自分に注意を払わなくなり、カーテンになりません。
スピードは7〜8割。「自分も何かしらの攻撃に関わるぞ」というそぶりを残しながら、味方のボールホルダーとそのマーカーの間に向かって動きます。
フェーズ2:味方のマーカーの前を横切る
ボールホルダーをマークしているディフェンダーの 正面〜手前 を、自分のマーカーを引き連れて横切ります。
ここで2人のディフェンダーが団子状態になり、お互いに視界を遮ったり、足が絡んだりします。これがカーテンの「布」の部分です。
【画像マーカー2:フェーズ2のカーテンが効いた瞬間(2人のディフェンスが団子になる瞬間を選手の動線つきで図示)】
フェーズ3:抜けたあとに次のプレーへ移る
カーテンを引いた後、自分は 次のプレー に移ります。
ここで「カーテンを引いた後に止まる」のがNGです。止まるとファウル(オフザボールのブロックとみなされる)になるリスクもありますし、何より次の攻撃が止まります。
コルティーナが効果的な3つの局面
局面1:フィクソとアラのパス交換中
フィクソ(後方)からアラ(サイド)にパスが出る瞬間、アラのマーカーの前にもう1人のアラがカーテンを引きに行く。これがチームとして最も使う形です。アラが完全にフリーで前を向ける状態が作れます。
局面2:プレス回避
相手が前から強くプレスをかけてきた時、フィクソの前にアラがカーテンを引くだけで、フィクソが前を向いて運べる時間ができます。プレス回避は単独の技術より、コルティーナのような チームでのほどき方 のほうが効果的です。
局面3:セットプレー(キックインなど)
キックインの瞬間、味方マーカーの前を横切るだけで、キックインの受け手をフリーにできます。セットプレーは止まった状態から始まるので、ディフェンスがカーテンに対応しにくく、特に効果が出やすい局面です。
コルティーナとよく混同される動きとの違い
コルティーナとブロック(スクリーン)の違い
コルティーナとよく似ていて、より直接的に味方のマーカーを止める動きが ブロック です。
- コルティーナ:動きながら間を横切る → 動きの中で無効化する、ファウルになりにくい
- ブロック:止まって壁になる → 強く効くがファウルリスク(オブストラクション)あり
フットサルではバスケットボールほどスクリーンが許容されないので、動き続けるコルティーナのほうが安全 に使えます。
コルティーナとケブラの違い
ケブラは 自分がボールを受けるための折れる動き で、目的が「自分がフリーになること」。 コルティーナは 自分はボールを受けない動き で、目的が「味方がフリーになること」。
両者は組み合わせると強力で、コルティーナで味方を1度フリーにしたあと、自分がケブラで折れて受け直す、という連続技がよく使われます。
コルティーナとフィンタの違い
フィンタは予備動作(フェイク)で、自分がパスを受けるためにディフェンスをずらす動きです。 コルティーナは予備動作ではなく、味方を活かすための動きそのものです。狙う相手も、フィンタは自分のマーカー、コルティーナは味方のマーカーです。
サッカー経験者向け補足:サッカーの動きとどう違うか
サッカー経験者がコルティーナで戸惑うのは、「これってサッカーで言うと何の動き?」と聞かれた時にぴったり当てはまる動きがないことです。
| サッカーの動き | フットサルでの対応 | |—|—| | パスアンドゴー(パス出して前へ抜ける) | コルティーナの一部に含まれる | | 第3の動き(オーバーラップ) | コルティーナで作ったフリーを使う側 | | スクリーンプレー(ピックアンドロール的) | ブロック(コルティーナの強い版) | | 落としを受ける動き | コルティーナで作ったスペースに走る |
サッカーは縦に長いので、パスアンドゴーは「縦に走り続ける」ことが主目的です。フットサルは横にも近いので、パスを出した後、味方のマーカーの前を横切る という選択肢が常にあります。これがサッカーから来た人が見落としやすい部分です。
さるっちょ自身、サッカー未経験で入ったのに「サッカー経験者の人がカーテンの概念にハマっていない」と感じる場面が多くありました。サッカーの「パスして走る」習慣が強いと、味方のディフェンスの前を横切るという発想がなかなか出てこないようです。
コルティーナを成功させるコツ
コツ1:スピードは7〜8割
全力で抜けるとマーカーが置き去りになり、カーテンになりません。マーカーを連れていけるスピードに調整します。
コツ2:マーカーをぶつけるイメージで間に入る
「自分の体をディフェンスに当てる」のではなく、「自分のマーカーを味方のマーカーにぶつける」イメージで動きます。これによりオブストラクション(ファウル)になりにくく、効果も最大化されます。
【画像マーカー3:マーカーをぶつけるラインの取り方(オフェンス側の動線とディフェンス2枚の重なりを線で表現した図)】
コツ3:抜けた後に必ず次のプレーへ
横切ったあとに止まらない、減速しない。次の動きに移ることで、ファウルリスクも下がり、次の攻撃の選択肢も広がります。
コツ4:足元の技術に自信がなくても成立する
コルティーナの最大の利点は、自分がボールを触らない動き であることです。トラップやキックに自信がない人でも、この動きだけはチームに貢献できます。サッカー経験者でフットサル初心者なら、まずコルティーナから入るのが上達の近道です。
コルティーナの練習方法
2人でできるドリル
- パサー役と動き役に分かれる
- パサーがダミーのディフェンダー(人かマーカー)の前にいる
- 動き役は、ダミーディフェンダーの前を、自分のマーカー役を引き連れて横切る
- 横切ったあとに反対サイドへ抜ける動きを必ず入れる
3対2の状況設定ドリル
- 攻撃3人・守備2人で、必ずコルティーナを1回入れてからシュートまで行く
- 守備2人は通常の守り方
- ボールを触る人と触らない人の役割を意識する
試合形式での意識づけ
- 「パスを出したらカーテンを引きに行く」をチームの約束にする
- 自分が触っていない時間に何をするかが、チームとしてのコルティーナの精度を決める
さるっちょの経験上、コルティーナは個人練習よりも チーム内の共通言語 にする方が効果が出ます。「今のはカーテンだったね」「次もう一回引いて」とお互い声をかけられるレベルになると、攻撃の質が一段上がります。
コルティーナを身につけると変わる3つのこと
- ボールを触らなくてもチームに貢献できる ことが体感できる
- 味方のフリーな瞬間 が見える目が育つ(守備の理解にも繋がる)
- 2対1の作り方 が体に染み込むので、他の戦術への応用が利く
【画像マーカー4:コルティーナを軸にした攻撃の連鎖(コルティーナ→フリーになった味方→次のパス→シュートまでの流れを矢印で示した俯瞰図)】
まとめ
コルティーナ(カーテン)はフットサルの基本的なオフザボールの動きで、味方をフリーにするためのチーム戦術です。
- スペイン語・ポルトガル語で「カーテン」を意味する
- 味方のマーカーとボールホルダーの間に体を入れて、一時的に2対1を作る
- スピードは7〜8割、マーカーを連れていくことが大事
- 抜けた後は必ず次のプレーに移る(止まらない)
- 足元の技術に自信がなくても、チームに貢献できる動き
- ケブラ、フィンタ、パラレラ、ジャグナウ と組み合わせると威力倍増
「パスを出した後、何をしていいかわからない」と感じている人は、まず次のフットサルでコルティーナを1回引きに行ってみてください。その瞬間、味方がフリーになり、チームでのプレーの見え方が変わります。
足元の技術に自信がない時期ほど、コルティーナで助けられました。ボール触らずにチームに効く動きがあるって知ってるだけで、ピッチでの気持ちがかなり変わります。






